「私、五十肩なんです!でも、五十肩ってどうやったら治るの?」そんな悩みをお持ちではないですか?
「腕が上がらない」「腕を後ろに回すと痛い」などのお悩みがある方は、五十肩かもしれません。
五十肩は、放置していると日常生活で支障をきたす場合もありますので、早めに治したいですよね。
そんな方のために五十肩の緩和方法や五十肩の方はやってはいけないことなど役立つ情報をご紹介します。
さらに、NHKで紹介された「ためしてガッテン流五十肩ストレッチ」が本当に五十肩の回復に効果あるのか実際に検証してみました。五十肩でお悩みの方は是非参考にしてみて下さい。
- 五十肩=手が135°以下しか上がらず、手をねじると痛い
- 五十肩の原因=加齢による肩関節周辺組織の老化
- 五十肩を緩和する方法=注射・薬・保温・運動
- 五十肩の回復に「ためしてガッテンストレッチ」は有効
そもそも五十肩とは?
五十肩には、呼び名が色々ありますが、どれも同じ意味です。
四十肩/肩関節周囲炎/凍結肩/癒着性関節包炎
ここでは、五十肩で統一してご紹介していきます。
発症しやすい人
五十肩の発症率は、全人口の2~5%で、特に40代~60代の女性が発症しやすく、平均年齢が50前後です。
- パソコンの作業が多い方
- 長時間のスマートフォンの操作をする方
- 姿勢が悪い方
- 若いときにスポーツや仕事で肩を酷使した人
- 肩を痛めたことのある人
さらに、糖尿病の方は発症しやすく治りにくいと言われています。
糖尿病の方は、これ以上の悪化を防ぐためにも食事や運動・薬などで血糖をコントロールすることが大事です。
五十肩の特徴
五十肩の初期症状は、肩から腕にかけて、肩を動かした時に痛みや違和感を覚えることから始まります。
その後、進行してくると何もしていなくても激しい肩の痛みが長く続き、痛むので腕を動かせる範囲が限られるという特徴があります。
どんな時に痛むのでしょうか?
- 腕をあげる時
- 上着の着脱の時
- 夜、寝てる時(夜間痛)
- 髪を洗う時
- 背中に手を回す時
中年以降で、このような症状が見られる場合は五十肩の疑いが強いです。
運動やケガ、病気の可能性ではなく、手が135°以下しか上がらず、手をクルクル回転させてねじると痛みを感じれば五十肩と診断されます。
五十肩は殆どが原因不明で、治るまでに半年~2年ほどかかるのが特徴です。
五十肩の原因
五十肩の原因は、加齢による肩関節周辺組織がもろくなり始めていることが挙げられます。
中年になり、肩周辺の組織がもろくなっているにも関わらず、仕事やスポーツなどで活発に肩を動かしていることも要因のひとつです。
また、肩関節の可動域が広いため、骨以外の組織が引っ張られやすく肩に痛みを生じることがあります。
五十肩と肩こりの違い
五十肩と肩こりは似ているようで、全然違います。
首から肩にかけての痛みやコリといった症状は似ていますが、次のような違いがあります。
五十肩=肩関節の炎症。腕を動かすと痛みが強まり、肩関節を動かすと痛みを感じる場合
肩こり=首から肩の筋肉疲労。首を動かすと痛みが強まる場合
五十肩は、痛みだけでなく肩関節の可動域が制限されてしまう特徴があります。
軽傷であれば「肩が挙げづらい、後ろに手を回すと痛い」などの症状で済みますが、ひどくなると「腕が上がらない、何もしてないのに痛い、痛みで夜も眠れない」などの症状になり、手術が必要な場合もあります。
一方の肩こりは、パソコンやスマホなどでずっと同じ姿勢でいると、後頭部から肩甲骨にかけて筋肉が硬くなって血の巡りが悪くなって発症します。
リンパの流れも悪くなり、疲労物質が蓄積し肩こりの原因になります。
また、頸椎の疾患・胸郭出口症候群・ストレス・内臓疾患などでも肩こりが起こります。
重大な病気が隠されている前触れかもしれませんので、慢性的な肩こりは早めの整形外科への受診をお勧めします。
五十肩の重症度チェック&対処法
五十肩は、重症度によって対処法が変わってきます。
どんな症状の時にどのように対処すればいいのでしょうか。詳しく解説します。
炎症期
五十肩発症から4か月以内を「炎症期」と言い、痛みが最も強い時期になります。
安静にしていても、意識のない就寝時でも痛みを伴うという特徴があります。
この時期は、腕が上がらない、後ろに腕を回せないなどの可動域が狭まり、日常生活もしづらくなるでしょう。
無理をすれば肩を動かすことも出来ますが、痛みを伴う動作は控えるようにしましょう。
肩関節に負担をかけない安定した姿勢を心がける→パソコンを操作する動作(肩を少し前にして脇を少し開く位置)が一番いいポジショニングです。
夜間痛で眠れない場合は、肩のポジショニングを意識し、クッションやタオルなどで肩よりも肘を高い位置に維持すると安楽です。
拘縮期
五十肩の炎症期~6か月程度を「拘縮期」と言い、急性期に比べると痛みも軽減します。
しかし、関節が固まる拘縮状態になり、肩は動かしにくく、腕も回しにくくなります。
痛みが治まってきたなと思ったら、硬くなった肩関節をほぐすためと可動域を広くするために肩の運動を少しずつ取り入れていきましょう。
肩関節自体を動かすと更に痛みがひどくなる可能性があるので、肩関節以外の運動を行うことが基本!
肩甲骨や首のストレッチが効果的です。
回復期
五十肩の拘縮期~4か月程度を「回復期」と言い、この時期になると徐々に痛みも解消していきます。
次第に肩も動かしやすくなるため、積極的に肩の運動を取り入れましょう。
肩の運動を積極的に行うことで、肩の可動域を広くし、肩の筋力を取り戻せます。
五十肩でやってはいけない4つのこと
五十肩でやってはいけないことを4つご紹介します。
痛いのに無理に動かす
五十肩発症から間もない急性期は特に痛みが強いので、無理に動かすと炎症が余計に悪化します。
痛みがある場合は、無理をせずに安静にしましょう。
マッサージをする
五十肩には、マッサージは厳禁です。
五十肩は肩こりと症状が似ているので、肩こりを勘違いしてマッサージを受け五十肩が悪化することがあります。
- 五十肩・・・腕や肩関節を動かすと痛みがあり、可動域が狭まる場合
- 肩こり・・・首を動かすと痛い場合
マッサージを受けたい場合は、自己判断ではなく、一度医療機関で診断してもらいましょう。
痛みがある方の肩を下にして寝る
五十肩が悪化すると、寝ているときでも痛みが生じます。
痛みがある方を下にして寝てしまうと、肩の炎症が悪化してしまう恐れがあります。
痛みのない方を下にして、痛みのある方を守るよう心がけましょう。
長期間放置する
五十肩は、長期間放置していると危険です。
「肩がちょっと痛いな」「肩がちょっと動かしづらいな」ぐらいなら放置してしまう方が多いでしょう。
現に、半年~2年もすれば自然治癒する方がほとんどです。
しかし稀に、肩関節拘縮(凍結肩)を起こして、リハビリなどでは治らず手術が必要な方もいらっしゃいます。
- 関節が固まってしまい手が挙がらない
- 何もしなくても痛みが強い(じわ~とした痛む等)
- 夜痛くて眠れない
- 髪を解くだけでも痛い、または動かない
- 洗濯物を干すときも痛い
- ベルト通す時も痛い
- 電車でつり革をつかむ時に痛い
五十肩はひどくならないうちに、早めの整形外科の受診をお勧めします。
五十肩を緩和する5つの方法
五十肩は、原因がはっきりしないので、直接原因を取り除くことはできません。
そのため、五十肩は、症状の改善や緩和を目指す保存的治療が原則になってきます。
五十肩を緩和するには、次のような5つの方法が有効的です。
消炎鎮痛薬
痛みを和らげるためには、市販の消炎鎮痛成分「インドメタシン」などが配合された貼り薬がいいでしょう。
またビタミンB1、B6、B12、ビタミンEは、五十肩の症状を緩和するのでビタミン剤も取り入れましょう。痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の飲み薬も効果的です。
関節内注射
五十肩の拘縮期は、痛みは和らぐのに肩は動かしづらいままだったりするので、肩の関節内にヒアルロン酸ナトリウム注射する方法があります。
ひどい場合は、関節包にステロイド薬と局所麻酔薬を注入します。
また部分的に、関節くう拡張術で関節包を部分的に破裂させたりします。
温熱療法
五十肩の炎症期・拘縮期(発症~10か月)は、温めると痛みや症状が緩和する温熱療法が有効です。
医療機関では、ホットパックやマイクロ波の機器を使ったりしますが、自宅ではカイロや温シップ・蒸しタオルを使ったり、湯船に浸かったりして患部を温めましょう。
その際には、低温火傷や皮膚かぶれにならないよう注意が必要です。
逆に冷やすと筋肉や腱がこわばりやすく悪化するので、冷房の効いた部屋に長時間いる夏などは特に注意が必要です。
寒冷療法
五十肩の急性期は、痛みが激しく熱を持っているので、肩の炎症を鎮めるために「寒冷療法」が有効的です。
アイスパックなどを使ったりしますが、長時間使用すると筋肉が硬くなって逆効果です。
凍傷などを起こす可能性の少ない冷シップなどで冷やすといいでしょう。
しかし、最初の激痛から1週間ほど経てば、血行促進のために保温することをお勧めします。
運動療法
五十肩の急性期は、関節を動かすと強く痛むので安静が一番ですが、関節を全く動かさないと筋肉が凝り固まってしまいます。
五十肩の緩和は、「筋肉を動かすこと」が大事です。
誤った動きで痛みを悪化させないように気を付け、急性期を過ぎたら本格的に運動療法を取り入れましょう。
五十肩の回復に効果的な「ためしてガッテン流ストレッチ」をやってみる
五十肩の回復に効果的な「ためしてガッテン流ストレッチ」をご紹介するとともに、実際にやってみて効果はあるのか検証します。
なお、肩を動かしていないのに痛みのある方や、肩に熱感のある方は、体操はお控えください。
腕を上げやすくする体操・検証①
体操を行う際は、呼吸を止めずにゆっくりとした動きで気持ちいいと感じる程度に加減して行いましょう。
①仰向けに寝て、両膝を揃えて立てます。
②両腕を横に伸ばします。この時の両腕の角度は、真横まで上げなくても無理のない範囲で行いましょう。
③頭と肩を床につけたまま、動かないようにして、両膝をそろえて真横に捻りましょう。
④中心に戻し、反対側に捻ります。捻る時に両膝が離れないように気を付けましょう。
<左右交互10回ずつ・1日3セット行う>
- 痛い肩を動かさず、両腕の角度も痛みによって調整できる
- 早い段階からトレーニングできる
- 胸・お腹・脇腹の筋肉を伸ばすことができ、肩の可動域も広がる
- 足を横に倒すたびに背中の筋肉も伸ばすことが出来姿勢も良くなる
腕を上げやすくする体操・検証②
体操を行う際は、呼吸を止めずにゆっくりとした動きで気持ちいいと感じる程度に加減して行いましょう。
①痛い肩が、テーブルとは反対側になるように立ちます。
②痛い側の足を一歩踏み出し、反対側のつま先は90度に開いてテーブルに向けます。
③体をひねって、両手をテーブルに付きます。
④両手でテーブルを押しながら、おしりを後ろへ引き3秒間キープします。
【ココが重要】この時に背中や腰を丸めないようにお尻を引くことが大事です。
⑤元に戻します。
<10回1日3セット行う>
- 背中と脇腹の筋肉が伸びるので腕が上がりやすくなる
- 腰痛にも効果的
- 上腕の内側と外側の筋肉も自然と伸びる
肩を回しやすくする体操・検証③
体操を行う際は、呼吸を止めずにゆっくりとした動きで気持ちいいと感じる程度に加減して行いましょう。
①痛い側の肘をつきます。
②反対側の手は、手首あたりに添えます。
③痛い側とは逆へ、テーブルとは平行にゆっくり体をずらしていきます。
④気持ちいいと感じるところで止まり、そこで3秒間キープします。
⑤元に戻します。
【ここが重要】体が傾いてしまうと、肩の腱がしっかり伸びないので、体が斜めにならないように意識しましょう。
<20回ずつ1日3セット行う>
- 痛い側の肩を動かさずにすむ
- 肩甲下筋(肩甲骨と上腕骨をつなぐ筋肉)を伸ばすことで肩が回しやすくなる
- 肩の腱や腹斜筋もしっかり伸びウエストラインのくびれも期待できる
肩を回しやすくする体操・検証④
体操を行う際は、呼吸を止めずにゆっくりとした動きで気持ちいいと感じる程度に加減して行いましょう。
①痛い方の肩を下にして、横向きに寝ます。
②肘を90度に曲げて、反対側の手と合わせます。
③下にある手で押し、上の手で抵抗します。
④胸の前で3秒間力を入れ、抜きます。
⑤元に戻します。
【ここが重要】肩があがらず、肘を正面に置けない場合は、無理のない角度で行いましょう。
<20回ずつ1日3セット行う>
- 肩を外側に広げる棘下筋と小円筋を伸ばして、肩が回しやすくなる
- 寝ながらできるので、肩への負担がない
- 両腕全体の筋肉が鍛えられ、二の腕のストレッチにもなる
ためしてガッテン流「五十肩ストレッチ」に関するよくある質問
- 知恵袋にあった五十肩を一瞬で治す方法はある?
-
五十肩を一瞬で治す方法はありません。
- 五十肩で後ろに手が回らない人のためのストレッチとは?
-
累計1.8万人以上のリハビリ治療に携わった「東京神田整形外科クリニック」理学療法士9年目の豊岡桜子さんに「五十肩で後ろに手が回らない人のための3つのストレッチ」をYouTubeを通して紹介してもらいます。
まず、手を後ろに回すためには、背骨・肩甲骨・肩の3つ全ての動きが必要になります。
背骨を動かすストレッチ- 胸の前で手を組んで背骨全体を10秒間丸くしていく
- 丸めたところから背骨全体を10秒間反ります
- この丸めて反るを3回繰り返す
肩甲骨を動かすストレッチ- 肩甲骨に何かを挟むイメージで、両腕を外に開いて胸を10秒間張ります。
- これを3回行う
肩を内側に動かすストレッチ- 片方の肘をまげて腰に手を当てる
- 反対側の手で、肘をもち手前に10秒間引きます(肩があがりすぎないように注意しましょう)
- これを3回行います
手を後ろに回すためには、この背骨・肩甲骨・肩のストレッチを朝・昼・寝る前の3回行うのがベストです。
- 肩があがらない人のためのマッサージとは?
-
腕が上がらない人のためのマッサージを「さいわい鶴見病院」理学療法士の郷間光正さんにYouTubeを通して教わります。
拘縮期の首のストレッチ- 肩甲骨を押さえ、肩を下げる
- 首を押さえている肩とは反対側に倒す
- これを左右3~10回×3セット行いましょう
※耳から肩にかけての伸び感を感じることができれば、しっかり伸びている証拠
拘縮期の肩甲骨のストレッチ- 両手を後ろに引いて肩甲骨を閉じる(骨盤も一緒に起こす)
- 両手を前へ肩甲骨を外へ開きます(骨盤を後ろへ倒す)
- この肩甲骨の開閉を3~10回×3セット行う
※肩甲骨は鎖骨を通して体幹につながっているので、肩甲骨の開閉運動だけでなく、体幹(骨盤)も連動して動かすと効果的
回復期のストレッチ①- 両手を後ろにし、お尻の前でタオルを持ちます
- 肩甲骨をしっかり締めます
- 肘をしっかり伸ばし、上の方へ上げます
- これを5~10回×3セット行う
※肩の前の部分にストレッチ感を感じることが出来ればしっかりと伸びている証拠
回復期のストレッチ②- 両手でタオルを持ったまま上にあげます
- 右手(左手)で右側(左側)に引っ張ります
- これを左右5~10回×3セット行う
※脇の下から脇の外側の方まで伸び感を感じられたらしっかり伸びている証拠
回復期のストレッチ③- まず、小さいタオルと短い棒(ラップの芯でもOK)を用意します
- タオルを脇の下に挟み、肘を90度にし、小さい前ならえをします
- 棒を左手で持ち、反対側の手で外側を握ります
- 左肩の力を抜いた状態で、右手で左側に押していきます
- 左右5~10回×3セット行う
※反動をつけずに、肩の前の方のストレッチを感じ、肘や脇が離れないように注意しましょう
四十肩・五十肩は、適切なストレッチを行うことで、ほとんどの方が改善します。
無理のない範囲でストレッチしながら、しっかり治していきましょう。
- 五十肩(四十肩)を早く治す方法
-
五十肩を早く治す方法は、3つです。
五十肩(四十肩)を早く治す方法- 整形外科で治療を受ける
- ストレッチをする
- 生活習慣の改善
五十肩は、早く治ることはほとんどないので、まず痛みが強い場合は、整形外科などの専門家の治療を受けることが最短の改善策です。
処方された痛み止めや湿布薬で痛みが治まったら、しっかりストレッチすることも大事です。
ちょっと痛いなぐらいなら、我慢して動かしましょう。そうしないと、肩や腕の動きが悪いまま固まってしまう可能性があります。
回復期になれば、五十肩になりやすい生活習慣はやめ、姿勢を正し、肩に負担のかかる動きはやめましょう。
ためしてガッテン流「五十肩ストレッチ」のまとめ
- 五十肩=手が135°以下しか上がらず、手をねじると痛い
- 五十肩の原因=加齢による肩関節周辺組織の老化
- 五十肩を緩和する方法=注射・薬・保温・運動
- 五十肩の回復に「ためしてガッテンストレッチ」は有効
五十肩は、特効薬がないので、痛みを軽減させ上手に付き合っていくしかありません。
五十肩の緩和には、飲み薬や貼り薬などもありますが、適切なストレッチをすることでほとんどの方が改善します。
「ためしてガッテン流五十肩のストレッチ」をしてみて、痛い肩への負担は少ないのに、その他の筋肉を伸ばしたり動かすことで肩への筋肉がほぐされていくのが分かりました。
また、それらの筋肉を動かすことで、姿勢も同時によくなったり、腰痛も改善されたりいい作用も発見できました。
五十肩でお悩みの方は、「ためしてガッテン流五十肩のストレッチ」をためしてガッテン!